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August 11, 2008

北ギリシャ国立劇場 『バッコスの信女』

セアトロ・ヴラホン(アテネ)

日時:2008年07月23日(水)
場所:セアトロ・ヴラホン(アテネ)
原作:エウリピデス
演出:タソス・ラゾス
出演:北ギリシャ国立劇場

από τις "Βακχές"
 http://www.ntng.gr/default.asp?siteID=1&pageid=21&tablepageid=15&langid=1&entryid=350

(mixi日記からの転記。加筆修正しています。)

アテネのヴィロナスという場所にある、セアトロ・ヴラホン(岩の劇場)での観劇です。
北ギリシャ国立劇場の、2つある夏ツアーのうちのひとつ。もうひとつの出し物『オレステス』のほうが、セットも派手だしエピダウロスにも出場しているので、『バッコス…』はどちらかというと二番手かな。巡回している劇場も、小さめのところが多いようです。わが家では勝手に「二軍」と呼んでました。
旅行日程の中でちょうどこのセアトロ・ヴラホンで上演される古代劇だったので、劇場見学も兼ねて行ってきました。


大きな地図で見る

セアトロ・ヴラホン(アテネ)

タクシーで連れて行ってもらい、劇場近くで降ろしてもらいました。中に入ってみると、円形劇場が二つあるんだってことが分かりました。

こちらは小さい方の劇場。

小さい方の劇場

『バッコス…』は、大きい方の劇場での上演でした。
どちらも古代遺跡ではなくて人工の円形舞台ですが、背景にそびえる崖がとてもユニークな劇場です。

ヴィロナス/岩の劇場 ヴィロナス/岩の劇場

芝居の方ですが、本火を使ったり、岩壁に影を当てたりしてこの劇場を効果的に使っていました。ただ、仕込みに時間がかかっていて、ディオニュソス登場のシーンなど、準備中に手の内を見せてしまってたのが良かったのか悪かったのか…。(^-^;)

予定より40分遅れで開演。

音楽はギリシャの伝統的な編成(クラリネット、アコーディオン、太鼓大小)。コロスの衣装が現代のごく普通の男女で、民族音楽と民族舞踊(フォークダンス)調で踊るので、なんだか皆でピクニックに来てるみたい。
ディオニュソスも交じって踊っているのですが、はじめは神話的な雰囲気がまったく感じられませんでした。なんていうんでしょう、これ。日常の中にひそむ悲劇? ひらたく言ってしまうと、全体に演出が地味です。

が、ディオニュソスとペンテウスの対話の場面から面白みが増してきます。俳優に力があるので、シンプルな演出がカバーされているようにも思えました。
飄々と詰問をかわすディオニュソスと、激情型のペンテウスの対比が面白かったです。白い衣装のディオニュソスと黒服のペンテウスが対になる動きをする場面や、杖の取り合い、
「今でも神はすぐそばにおられて、私がどんな目にあっているか眺めておられますぞ。」
「どこにいるというのだ。おれの目にはいっこうにうつらぬが。」
あたりでは、取っ組み合いまで始めるいきおい。
従兄弟同士の対決なんだな、ということが思い起こされます。この二人、もともと母親が姉妹で、片や父エキオン、片や父ゼウスという立場なんですよね。

ディオニュソスがペンテウスを山に誘い出す場面も、それなりに緊迫感を持って感じられました。
注目だったのがペンテウスの女の服で、なんと花嫁の扮装です。ディオニュソスも花婿の衣装に着替え、狂った花嫁を相手に
「お髪がはずれてきております」
「帯もゆるんでおりますし」
などとやるので、非常に倒錯的に感じられて良かったです。

ペンテウス殺害の報告の場面では、コロスのひとりがペンテウスに似せた案山子に火を付けて燃え上がらせ、肉片に見立てた赤い布を投げ合ってました(念がいっています)。
アガウエの演技も迫力があって良かったです。
俳優たちの演技はとても満足でした。後半に行くに従って、狂気が増して盛り上がっていったようです。

ただし、ディオニュソスの神の声は、マイクを通した方が良かったと思いました。崖ぎわまで行ってライトアップされた状態になるのですが、遠すぎてよく聞こえないんです。
地震の場面でも、コロスが舞台でわぁわぁ言ってるだけなのってちょっと…(迫力不足)。後で「怖かった? 大丈夫だよ」となだめて回るディオニュソスは良かったですが。

舞台が広いのに、ほとんど長テーブルだけという簡素な装置なのも、なんとなく締まらない原因だったかも知れません。長テーブルの使い方は、静岡で見たハナン・スニルの『アンティゴネ』とよく似ていたのが気になりました。

また、この日の上演は音響がいまいちでした。座席の中ほどで見ていたんですが、俳優の声が左右に抜けてしまって聞き取りにくくなっていました。出来るだけ前の席で見たほうがよさそうです。

[参考文献]
 『ギリシア悲劇IV エウリピデス(下)』 ちくま文庫 1996年 第三刷
 

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